朝鮮半島と日本の和解を妨げている元凶は日本政府だ
京都の耳鼻塚の鎮魂・供養式を通じて、私は韓国と北朝鮮の双方の関係者と親しくなった。
具体的に言えば、韓国は政府関係者、北朝鮮は朝鮮総連関係者だ。
そこでわかったことは、韓国も北朝鮮も日本との関係改善を希望しているということだ。
しかし、やはり歴史認識でここまで日本政府と違いがある以上、本当の和解は難しいということだ。
おまけに北朝鮮と日本との間には拉致問題がある。
そして北朝鮮は、これもまた歴史認識と同様に、日本政府との間に解決困難な認識の違いがある事を知っている。
このままでは何も進まない。いや進められないのだ。
だから、その閉塞を破るべく、私が耳鼻塚について日本国民に知らせようとした事を、北も南も高く評価し、鎮魂・供養式を私が行った事を、更に高く評価したのだ。
北朝鮮でも報道された耳塚の鎮魂・供養式
鎮魂・供養式の事を韓国のメディアが大きく取り上げたところまでは知っていたが、それを引用して北朝鮮も報じていた事を、私は北朝鮮関係者から知らされて驚いた。
「麒麟よこい」という本まで北朝鮮で報道されていたのだ。
それにくらべ、日本のメディアの報道は驚くほど小さかった。
朝日が地方面(京都)で報じたほかは、京都新聞が一日遅れで報道しただけだ。
普通なら、韓国で大きく報道されれば、そのことが日本のメディアで報じられるのだが、それも皆無だ。
私は彼らに伝えた。
耳鼻塚の鎮魂・供養式は、一回限りでやめるのなら意味はない。
これからも継続していってはじめて意味がある。だから続けると。
しかし、こんどのような鎮魂・供養を繰り返すだけでは発展性がない。
豊臣秀吉の朝鮮出兵やそれを再評価して繰り返した明治・昭和の朝鮮植民地化の謝罪し、許す、その繰り返しだけでは、そのうち誰も関心を示さなくなる。
日韓友好を具現化するプロジェクト活動
次回は、代表を若者に変えて、日韓朝の若者たちの間で、朝鮮半島と日本の和解を具体的な共同プロジェクトの形で実現させ、その成果を犠牲者の前で報告させたい。
あなたたちの犠牲があったからこそ、こうして今私たちがひとつの目標に向けて一緒になれたのだと。
そして毎年の鎮魂・供養式では次々とあらたなプロジェクトを追加報告する。
そうしてはじめて、鎮魂・供養式が未来志向の有意義なものになる。
それを目指したいと。
そのためには日本と韓国、北朝鮮の政府の賛同が必要だと。
こう私が自らの考えを語った時、彼らはどう反応したか。
それは素晴らしい考えだと賛同した。
そして、そのためにはそれぞれの政府の支援(そこまではいかなくとも少なくとも容認)が必要だということもその通りだと口を揃えた。
しかし、我々の政府はなんとかなる(北朝鮮の関係者ださえそういったのだ)一番の障害は日本政府だと言ったのだ。
そう言われて、あらためて気づいた。
徴用工問題ひとつとっても、日本は韓国に譲歩を迫るばかりで、韓国が譲歩案を示しても、日本政府は、韓国政府が最高裁判決を否定しないかぎり一歩も譲らないと繰り返している。
北朝鮮の拉致問題に至っては、生きて全員を取り戻さない限り一歩も譲らないの大合唱だ。
これではどうにもならないのだ。
朝鮮半島と日本の関係改善など、まるで望んでいないごとくだ。
私が交渉する相手は、文在寅政権や金正恩体制ではない。
菅政権なのだ。
そして、それを支える日本国民の世論なのだ。
今度の京都の耳鼻塚の鎮魂・供養式はうまくいったが、それを継続・発展させる事は、至難のわざだ。
それを知った上で来年の鎮魂・供養式に向けて歩を進めたい。
メルマガのネタを毎日探し、書き続けるとともに、もうひとつの日本外交をつくる。
まさしくドンキホーテだ。
しかし、いまの日本の政治を、指をくわえて眺めるよりはましだ。
政局批判に明け暮れるよりはるかに夢がある。(天木直人)